ここでは皮脂・皮脂膜についてとりあげたいと思います。
皮脂・皮脂膜を理解しておくことは,正しい洗顔方法を身につける上でも,とても大切です。
洗顔の正しい方法の答えは,「皮脂」「皮脂膜」「皮脂膜のよごれ」の理解の中にあります。
皮脂とは
皮脂は,真皮にある皮脂腺という器官で糖分や脂肪分から作られて,毛穴から皮膚の表面(表皮)に押し出されます。
- 皮脂の成分は,トリグリセリド(中性脂肪),遊離脂肪酸,ワックスエステル,スクアレン,コレステロールエステル,コレステロールなどとされています。
- 特に体の中でも,顔,頭,胸,背中の中央部分で分泌されます。
- 皮脂の分泌量は,性別など人それぞれで異なりますし,同じ人でも年齢,気温,食事内容などによって変動するとされています。
- 気温が高くなると皮脂の分泌は増加し,低くなれば皮脂の分泌は減少します。ですから,夏場は分泌が増加し,冬は減少することになります。夏場は素肌のかさつきを感じない人でも,冬場にカサカサに乾燥してしまうことがあるのは,この皮脂の分泌が減ってしまうからです。
- 皮脂が毛穴にたまってしまうとニキビの原因になります。ですから,ニキビ肌の人は,この皮脂をコントロール,抑制することが重要ということになります。
皮脂膜とは
毛穴から表皮に押し出された皮脂は,同じように皮膚の表面に分泌されている汗とまじって,皮膚の表面をおおいます。これが皮脂膜と呼ばれています。
- この皮脂膜は,私たちの皮膚の表面をおおって水分の蒸発を防ぎ,素肌のツヤの元になっています。
- この皮脂膜があるおかげで,皮膚の表面が保湿され,なめらかに保たれ,うるおいが与えられています。
皮脂膜はよごれてしまう
皮脂膜は,皮膚の表面の保湿やガードにとって無くてはならないものです。しかし,残念ながらずっと綺麗な状態の膜としてキープされる訳ではありません。
皮脂膜は,色々な要因でよごれてしまいます。
- 私たちが外で活動をすると,ほこりなどのよごれにさらされます。これが皮膚をおおっている皮膚膜にくっついてしまいます。
- 特に女性でお化粧をしている場合は,時間が経つごとにお化粧と皮脂膜が混じり合ってフレッシュな状態ではなくなっていきます。お化粧の成分が日光に当たって変質する場合もあります。
- ターンオーバー(新陳代謝)によって,皮膚の表面からは角質層がはがれていきますが,このはがれ落ちたものも皮脂膜に混じって汚れの原因となります。
皮脂膜のよごれは素肌への悪影響
皮脂膜のよごれを放置しておくと,素肌にとって,いろいろな悪影響が起きてしまいます。
・表面にほこり,花粉,アレルギー物質がつきやすくなります。
・細菌が繁殖しやすくなったり,汚れが素肌への刺激となったりします。
・皮脂に含まれるスクアレンや脂肪酸系物質は過酸化脂質に変わって皮膚に悪影響を与えます。
このように皮脂膜のよごれを放置することは,素肌に悪影響を及ぼしてしまうのです。
ですから,洗顔によって皮脂膜のよごれを定期的に洗い流すことが大切です。
まとめ
- 皮脂膜は,私たちの皮膚から分泌される皮脂や汗によって皮膚をおおう膜のこと。
- 皮脂膜は,素肌のうるおいや素肌のガードのために大切なもの。
- しかし,皮脂膜はよごれてしまい,しかも素肌に悪影響。
定期的に洗い流して綺麗な状態にすることが大切。
(公開日2013.1.6)(最終更新日2013.1.17)