アトピー性皮膚炎の方が石鹸で洗顔・体を洗う時に気を付けたいこと

アトピー性皮膚炎のスキンケア(基本的なこと)の記事では,アトピー性皮膚炎のスキンケアで大切にしなければならないことが,
①素肌(皮膚)を清浄して,清潔にすること
②素肌(皮膚)を清浄する場合,バリア機能が低下していることに配慮すること
産バリア機能を回復させること
の3つであると述べました。

今回は,②素肌(皮膚)を清浄する場合,バリア機能が低下していることに配慮すること,を考えていきましょう。


バリア機能とは?

皮膚のバリア機能は,いずれ詳しく記事としてとりあげたいと思います。

簡単にいえば,皮膚のバリア機能とは,角質細胞間脂質,天然保湿因子(NMF),皮脂の3つによって,素肌の潤いを保ち,外部からの異物等の侵入を防ぐものです。
アトピー性皮膚炎の方は,特にセラミド(角質細胞間脂質)が少なくなっており,このバリア機能に異常発生し,外部から皮膚の中にアレルゲンが侵入しやすい状態になっています。
ですから,アトピー性皮膚炎の方は,素肌を清浄するときは,刺激を与えないように細心の注意が必要です。

アトピー性皮膚炎の方が石鹸を選ぶ時に注意したいポイント

◆石鹸は「低刺激性」のものを選びましょう

アトピー性皮膚炎の方は,バリア機能が低下していますので,刺激を与えないように注意が必要です。
ですから,石鹸を選ぶ時は,自分の肌に合った「低刺激性」のものを選ぶことが大切です。
アトピー性皮膚炎のスキンケアにおける石鹸選びついては,次のように指摘されています(太字は当サイト)。

「使用する石鹸,シャンプー,基礎化粧品などもなるべく低刺激性のものを選ぶ.」
(元東北大学教授安田利顕先生著,東邦大学客員教授漆修先生改訂『美容のヒフ科学』南山堂,2010年9版,220頁)
「肌の汚れを洗い流すために十分な洗浄力があり,しかも低刺激の洗浄剤を用いるのがよい.」
(日本美容皮膚科学会監修『美容皮膚科学』南山堂,2009年2版,98頁)
「アトピー性皮膚炎では皮膚のバリアー機能がもともと低下していますので、折角ステロイド外用薬などで炎症を治めても、スキンケアを怠ると炎症は容易にぶり返してしまいます。皮膚の清潔保持のため入浴、シャワーを励行し、刺激の少ない石鹸で軽く洗います。」
社団法人日本皮膚科学会のウェブサイト,皮膚科Q&Aのコーナー
「石けんの種類としては、洗浄力のマイルドな低刺激性のものが望ましいでしょう。」
(医学博士戸田浄先生著『美容と皮膚の新常識』中央書院,平成22年初版,80頁)

アトピー性皮膚炎の方が石鹸で洗顔・体を洗うときに気を付けたいポイント

アトピー性皮膚炎の方は,バリア機能が低下しています。
ですから,できるだけ肌に刺激がないように慎重に洗顔・体を洗うことが大切です。
専門家が共通して指摘するのは,次のようなポイントです。

◆石鹸を使う際は,少量だけにして,よく泡立てること

石鹸を少量にしてよく泡立てると,石鹸成分の密度が薄くなり,お肌への刺激も低くなります。

◆泡で撫でるように,優しく洗うこと

できるだけ刺激を与えないように,手にとった泡で撫でるように優しく洗います。
摩擦を避けるために,タオルやスポンジを使うのはやめます。
ゴシゴシ洗ったり,摩擦をかけるのは避けましょう。

◆すすぎを十分に行うこと。ただし,すすぎの際に摩擦をしないこと。

石鹸の清浄成分が残ってしまうと,それが刺激となってしまいます。
ですから,石鹸の成分が残らないよう十分にすすぎをします。
ただし,すすぎをするときも,こすらずに優しく洗い流します。

他には,洗浄をしすぎないようにするという指摘もあります。

まとめ

  1. アトピー性皮膚炎の方は,バリア機能が低下しています。
  2. 石鹸は「低刺激性」のものを選びます。
  3. 洗顔・体を洗う方法,すすぎにも注意しましょう。

(公開日2013.1.27)(最終更新日2013.1.27)