洗顔後の「しっとり感」はスキンケアの阻害

洗顔後に素肌がしっとりするのがよい石鹸と思い込んでいませんか?

様々な洗顔料が販売されていて,私たちは色々な洗顔料のサンプルを試すことがあります。
色々な商品を試していると,洗い上がりに「しっとり感」のあるものがあったり,どちらかといえば「さっぱり感」が強いものもあります。

もちろんですが,素肌にうるおいがあって,しっとりとしていることはとても大事です。
ですから,「洗顔後にさっぱりする石鹸」=「良い石鹸」と考えがちなものです。

しかし,これは本当に正しい考えでしょうか?
「しっとり感」は,洗顔の直後にまで必要でしょうか?

洗顔直後の「しっとり感」は不要

ここでもう一度,洗顔の目的や意味を再確認しましょう。
洗顔の目的は,皮脂膜をきれいに洗い流して,まっさらで綺麗な皮脂膜の状態に戻すことです。

よごれは皮脂膜と結合していますので,洗顔は素肌の表面をおおっているよごれと皮脂膜を皮脂膜ごと洗い流すことが必要です。
皮脂膜はそのままでよごれだけを洗い流すのではないということですね。

この洗顔の基本の考え方からすれば,次のことがいえます。

  • 【正しい洗顔】をすれば,その直後には皮脂膜は洗い流れてしまっています。
  • ですから,【正しい洗顔】をすれば,「さっぱり感」が強くなって,「しっとり感」が弱いのは当たり前です。
  • 逆に「しっとり感」が強い状態の場合は,洗顔の一番の目的である清浄ができていない可能性もあります。

「しっとり感」のある石鹸は,スキンケアの阻害になることも

洗顔は,一時的に皮膚の表面に石鹸成分を接触させて清浄し,洗い流すことによって皮脂膜ごと汚れを落とすものです。
洗顔後の「しっとり感」を出すためには,すすぎをして,本来であれば皮脂膜ごとよごれを洗い流した後にまで,まだ肌に油分が残った状態にしなければいけません。
このようにしようと思えば,石鹸の中にたくさんの油分を含ませて,それがすすぎによって落ちない状態にさせる必要があります。

この油分について,皮膚科医吉木伸子先生監修「美容皮膚科医が教える美肌をつくるスキンケア基本ルール」(PHP研究所,2010年,初版,31~32頁)は,次のように指摘した上で,「余分な成分を含まず、しっかり汚れを落とすことのできるものが最適です。」としています。

”洗い上がりしっとり”をうたった洗顔料もありますが、こういった洗顔料の多くは油分を多量に含んでいます。油分は、すすいでも油膜のように肌に残り、つっぱった感じがせずしっとりしているように思えます。けれど、その油膜のせいで、洗顔後に水溶性の美肌成分をつけても浸透しにくくなり、結果的にスキンケアの妨げになってしまいます。

このように洗顔直後の「しっとり感」は不要なもので,清浄力があり,さっぱりする石鹸を使うのがポイントですね。
ただし,さっぱりする石鹸を使う場合は,もちろん洗顔後の保湿ケアをきちんと行うことが大切です。

まとめ

  1. 洗顔直後の「しっとり感」は不要。
  2. 洗顔直後にきちんと「さっぱり感」がでる石鹸を選びましょう。
  3. うるおいやしっとり感は,洗顔直後の保湿ケアに任せましょう。

(公開日2013.1.6)(最終更新日2013.1.8)